剥離する時の静電気を防ぐ、帯電防止離型フィルムの最新技術

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-大槻工業株式会社の表面加工処理技術-

プラスチックフィルムの加工現場において、離型フィルム(剥離フィルム)は欠かせない存在です。しかし、いざ「剥がす」という工程で、目に見えない強敵が立ちはだかります。それが「静電気」です。
剥離時に発生する強力な静電気は、ホコリの吸着、作業者への電撃、さらには精密電子部品の破壊といった深刻なトラブルを引き起こします。本記事では、離型性能を維持しながら静電気を制御する「帯電防止離型フィルム」の最新技術と、大槻工業が提供するソリューションについて詳しく解説します。


1.なぜ離型フィルムを剥がすと静電気が起きるのか?

離型フィルムと基材が密着した状態から引き剥がされる際、そこには「剥離帯電」と呼ばれる現象が発生します。

剥離帯電のメカニズム

  1. 接触: フィルムと基材が分子レベルで密着し、電子のやり取りが行われる。
  2. 分離(剥離): 急激に引き剥がされることで、移動した電子が元の場所に戻れず、表面に電荷が溜まる。
  3. 帯電: 特に絶縁体であるプラスチックフィルムは、一度発生した電荷を逃がす場所がないため、数千〜数万ボルトに及ぶ高電圧の静電気が蓄積される。

この静電気が、加工現場で数々の「トラブル」を招く原因となります。


2.静電気が招く3つの現場トラブル

異物・ホコリの「吸い寄せ」

静電気を帯びたフィルムは、周囲の微細なホコリやチリを強力に吸い寄せます。コーティングやラミネート工程で異物が混入すれば、ピンホールや外観不良の原因となり、歩留まりが大幅に低下します。

剥離時の「スパーク」と電子部品の破壊

精密な電子回路や半導体プロセスにおいて、剥離時の静電気放電(ESDElectro-Stratic-Discharge)は致命的です。目に見えない小さな火花が、デバイス内部の回路を焼き切ってしまうことがあります。

作業効率の低下と人体への影響

作業者がフィルムに触れた際の不快な「パチッ」という電撃(電撃ショック)は、作業ストレスになるだけでなく、反射的な動作による怪我や事故に繋がりかねません。また、フィルム同士が静電気でくっついてしまう「ブロッキング」も生産性を著しく下げます。


3.解決策:帯電防止機能を備えた離型フィルム

これらのトラブルを根本から解決するのが、「帯電防止離型フィルム」です。これは、フィルムの表面に離型層(シリコーン等)を形成する際、同時に静電気を逃がすための機能を付与したものです。

機能性の付与には主に2通りの方法があります

①帯電防止剤練り込み型:
 基材フィルム自体に帯電防止剤を混ぜ込む方法です。比較的安価ですが、適用できる材料の種類に
 制約があります。また、基材の帯電防止性能がオーバーコートされた離型層の表面に有効に
 作用するには限界がある場合があります。

②帯電防止コート+離型コート(多層構造):
 基材フィルム表面に帯電防止層を塗り、その上に離型層を重ねる方法です。
 比較的安定した導電性を 確保できますが、コストと厚みの管理が重要です。
 当社が得意とするのは、この多重構造加工品です。

静電気による異物吸着の実例

粘着テープを剥がした離型コート品を粉末に近づけて、静電気による異物の吸着を確認します。

【通常のシリコーン系離型コート品】 【帯電防止性能付与離型コート品】

【通常のシリコーン系離型コート品】は剥離帯電が発生している為、静電気によって粉末が離型コート面に吸着していますが、
【帯電防止性能付与離型コート品】は静電気を減衰できている為粉末が動いていません。
 ➔静電気による異物の付着対策に有効!!


4.シリコーン系 vs 非シリコーン系:用途に合わせた選択

離型フィルムには大きく分けて「シリコーン系」と「非シリコーン系」があり、帯電防止機能の持たせ方も異なります。

シリコーン系帯電防止離型

・特徴: 優れた離型性能と耐熱性です。特に粘着剤の剥離に有効です。
     シリコーン成分自体が誘電率の低い絶縁体であるため、
             帯電防止成分との組み合わせには細やかな組み合わせが必要です。

・用途: 粘着テープのセパレーター、一般的な電子部品保護。

※当社では離型面・反対面ともに帯電防止性能を付与させることが可能です

非シリコーン系帯電防止離型

・特徴: シリコーンによる汚染を嫌う現場(塗装工程や半導体関連)で使用。
     当社では、非シリコーンでも優れた離型性と帯電防止性を両立する処方を提供しています。
・用途: 光学フィルム用、シリコーンフリーが求められる車載部品。

※当社では離型面の反対面にのみ帯電防止性能を付与させることが可能です


5.大槻工業が提案する「次世代の離型・帯電防止ソリューション」

大槻工業では、以下の強みを活かした受託加工を行っています。
透明性を維持したまま導電性を付与
 帯電防止剤を塗るとフィルムが曇ってしまう(ヘイズが上がる)ことがありますが、弊社では
 透明性を維持しつつ帯電防止性能を付与した離型フィルムを実現しています。
湿度に依存しない安定した効果
 一般的な帯電防止剤は、冬場の乾燥した時期に効果が落ちるものが多いですが、
 最新の導電性ポリマー技術を用いることで、低湿度下でも安定した表面抵抗値を維持します。
離型力の精密コントロール(軽剥離〜重剥離)
 お客様の粘着剤に合わせて、剥離力を自由に調整可能です。
 「軽い力で剥がれるが、静電気は起きない」という理想的なバランスを追求します。


6.大槻工業株式会社が選ばれる理由(強みと実績)

フィルム表面処理加工を受託で対応しており、各種コーティング・コロナ処理・アニール処理などと、バリエーション豊富な加工技術でお客様独自の製品に機能性を付与します。

お客様のご要望にカスタムグレードで対応!

開発の駆け込み寺的存在であり続ける為に、お客様と共に考え、アイデアを出します。ご要望をお伺いし、要求性能に応じた塗工剤を選定し、当社独自の加工技術で適正な表面加工とそれに対応するグレードをご提供します。顧客ごとの製品特性や要求精度に合わせたカスタマイズ対応を行いながら、開発情報・処理条件などの機密を厳重に管理しています。

加工のバリエーションが豊富!

要求性能や塗工材料の組成によって塗工方式を決定します。さらに加工要素を組み合わせる事により、多機能化したフィルムに仕上げ高付加価値フィルムとしてお客様のご要望にお応えします。

受託加工業として60年の実績と豊富な経験!

昭和40年の設立以来、長年蓄積してきた高い技術力と経験豊富なスタッフが、お客様にご満足いただける製品づくりを進めます。 コーティング・アニール・コロナなどの受託加工で一社一様のスペック開発をスピーディーに提供することをモットーにお客様のご要望にお応えします。

 


7.まとめ:静電気対策は「機能の掛け合わせ」で決まる

離型フィルムを選ぶ際、「どれだけ軽く剥がれるか」だけに注目しがちですが、その後の加工品質を左右するのは「静電気をいかに制御できているか」です。
「剥離時のホコリ混入に困っている」「電子デバイスへのダメージをゼロにしたい」という課題をお持ちの方は、ぜひ大槻工業の帯電防止離型技術をお試しください。


「剥離帯電」の悩みを、私たちの技術で解決します。

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