重剥離から軽剥離まで、最適な離型フィルムの選び方

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― 大槻工業株式会社の表面塗工技術 ―


離型フィルムは、主に粘着剤や接着剤の剥離を容易にするために使用される特殊なフィルムです。
離型フィルムは、ラベルのセパレーターや転写工程の基材フィルムなどさまざまな用途に応じて異なる特性を持ち、主にシリコーン系や非シリコーン系の離型コートが施されています。
これにより、軽剥離から重剥離までの幅広いニーズに対応可能です。


離型フィルムとは?その用途と役割をわかりやすく解説

離型フィルム(リリースフィルム/セパレーター)は、粘着剤・樹脂・樹脂成形品などの貼り付きを防ぎ、転写などの加工工程や輸送中のブロッキングトラブルを防止するために使用されます。基材としては PETフィルム(離型PET) がもっとも広く使用され、表面に「離型層(離型コート)」を設けることで、粘着剤等が適度に剥がれるよう制御されています。

離型フィルムの基本構造

離型フィルムは一般的に「基材PET」+「離型層」の2層で構成されます。
離型層はシリコーン、フッ素、ハイブリッド離型材などその特性によって使い分けられます。

離型層(離型コート)の働き

離型層(離型コート)の役割は、「剥がれる強さ(剥離力)」を最適化し、粘着剤が残ったり、逆に剥がれすぎたりする不具合を防ぐこと。
特に電子部材や光学系フィルムでは、わずかな剥離力の違いが製品歩留まりに大きく影響するため、高精度な制御が求められます。

セパレーターとして使われる業界

・ラベル製造
・電子部材(FPC, センサー材料)
・二次電池部材
・光学積層フィルム
・粘着テープ・保護フィルム
多種多様な用途で使用されるため、離型フィルムには高い品質安定性が求められています。


剥離力の違い(重剥離・中剥離・軽剥離)で何が変わる?

離型フィルムの最も重要な性能が「剥離力(Peel Force)」です。

剥離力の測定方法

離型PETフィルムの剥離力測定は、90度または180度の剥離角度で、一定速度(300mm/minなど)で粘着剤付きサンプルを引き剥がし、その際の力を測定します(JIS準拠)。剥離速度や角度、経時変化、粘着剤の種類によって力は変動し、「N/mm」単位で表され、値が高いほど剥がれにくい(重剥離)、低いほど剥がれやすい(軽剥離)とされます。

剥離力の種類

種類 特徴 主な用途
軽剥離 ごく軽く剥がれる 非常に軽い剥離が必要な用途に適している
中剥離 標準的な剥離力

粘着テープやラベルなど、標準的な剥離力が求められる製品

重剥離 強い力で剥がれる 強い剥離力が必要な用途に向いている

剥離力が合っていないと、
・剥がれにくい
・糊残り
・途中で破れる
などの不具合が発生します。

剥離不良の原因と対策

・粘着剤の硬化条件が合っていない
・離型層と粘着剤の相性が悪い
・離型層のコート量過不足
これらを総合的に判断し、最適な離型層設計が必要になります。


離型層の材料と特性の比較(シリコーン・フッ素・特殊離型コート)

シリコーン離型

・最も広く使われる
・安定した剥離特性
・比較的低コスト
・耐熱性良好

フッ素系離型

・シリコーン系粘着剤などとの相性が良い
・耐薬品性が高い
・特殊用途向け

特殊離型(非シリコーン等)

・シリコーン汚染を嫌う工程で使用
・電子部材・光学用途で需要拡大中

離型フィルムは「どの粘着剤と組み合わせるか」によって最適解が変わるため、フィルム受託加工の現場では実サンプルでのテストが非常に重要です。


大槻工業株式会社のフィルム受託加工の特徴

大槻工業株式会社は、長年にわたり 離型フィルム・コーティングフィルム・アニール処理・コロナ処理などの受託加工 を行ってきた専門メーカーです。

少量~量産まで柔軟対応

試作1ロットから量産まで、短納期・多品種に対応。開発案件におけるサンプルワークにも強みがあります。

安定した離型力制御

大槻工業株式会社では、シリコーン系離型コート・非シリコーン系離型コートの2種類の離型コートを行なっております。
シリコーン系離型コートには、スタンダードタイプとペインタブルタイプの2種類があります。
また上記の、離型層上で転写物だけが剥がれる構造のものの他に、転写物と一緒に剥がれる剥離層をコーティングした、剥離層転写タイプも取り揃えております。
超軽剥離から重剥離まで剥離コントロールが可能で、帯電防止処理やコーティングマット加工との組み合わせで、お客様の求める高付加価値なフィルムに仕上げます。

特殊用途へ対応

・電子部材用
・粘着ラベル、粘着テープのセパレーター
・カーボンロッド製造用離型テープ
・熱転写ラベル
など、厳しい品質条件にも対応できる加工技術を保有。


大槻工業株式会社が選ばれる理由(強みと実績)

フィルム表面処理加工を受託で対応しており、コロナ処理・アニール処理・離型コートや易接着コートなどと、バリエーション豊富な加工技術でお客様独自の製品に機能性を付与します。

お客様のご要望にカスタムグレードで対応!

開発の駆け込み寺的存在であり続ける為に、お客様と共に考え、アイデアを出します。ご要望をお伺いし、要求性能に応じた塗工剤を選定し、当社独自の加工技術で適正な表面加工とそれに対応するグレードをご提供します。顧客ごとの製品特性や要求精度に合わせたカスタマイズ対応を行いながら、開発情報・処理条件などの機密を厳重に管理しています。

加工のバリエーションが豊富!

要求性能や塗工材料の組成によって塗工方式を決定します。さらに加工要素を組み合わせる事により、多機能化したフィルムに仕上げ高付加価値フィルムとしてお客様のご要望にお応えします。

受託加工業として60年の実績と豊富な経験!

昭和40年の設立以来、長年蓄積してきた高い技術力と経験豊富なスタッフが、お客様にご満足いただける製品づくりを進めます。 コーティング・アニール・コロナなどの受託加工で一社一様のスペック開発をスピーディーに提供することをモットーにお客様のご要望にお応えします。

最適な離型フィルムを選ぶためのポイントまとめ

  1. 用途と粘着剤との相性を確認する
  2. 剥離力(軽・中・重)を適切に設定する
  3. 離型層(離型材)の種類を選ぶ
  4. 必要な耐熱性・耐薬品性をチェック
  5. 試作段階で実製品の条件に合わせて検証する

大槻工業株式会社では、これらの条件を踏まえて最適な離型フィルムをご提案しています。
離型フィルムについてお困りの際は、ぜひ当社へご相談ください。

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