2026/02/04
アニール処理でフィルムに新たな機能を付与

1.はじめに:フィルム加工現場を悩ませる「カール」と「収縮」
| フィルムを用いた製品開発において、乾燥工程やラミネート工程の後に発生する「カール(反り)」や「シュリンク(熱収縮)」は、製造現場の永遠の課題です。 「設計通りの寸法にならない」「後工程で搬送トラブルが起きる」「製品が不採用になった」 こうしたトラブルの多くは、フィルム内部に蓄積された「残留応力」が原因です。本記事では、プラスチックフィルムのコンバーターである大槻工業が、これらの課題を根本から解決する「アニール処理」について、その仕組みと効果を解説します。 |
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2.アニール(アニール処理)とは? フィルムに施す「熱の整体」
「アニール」という言葉を直訳すると「焼きなまし」です。金属加工でよく知られる手法ですが、フィルム加工においても極めて重要な役割を果たします。
アニール処理のメカニズム: フィルムは製膜時や加工時に引き延ばされることで、内部に「元の形に戻ろうとする力(残留応力)」を溜め込んでいます。ここに一定の熱を加えることで、分子配列を整え、歪みを解放してあげるのがアニール処理です。いわば、フィルムの「整体」のようなものと言えます。
3.なぜフィルムにカールやシワが発生するのか?(原因分析)
考えられる主な原因を2つ挙げます。
原因①:工程温度がフィルムの許容範囲を超えている
➔乾燥炉などの設定温度がフィルムの耐熱性を超えると、急激な収縮(シュリンク)が発生します。
原因②:異素材の貼り合わせによる熱膨張差
➔耐熱性の異なる素材をラミネートした場合、熱がかかった際の伸び縮みの差が「応力」となり、大きなカールを発生させます。
4.課題解決の3つのアプローチ:大槻工業が提案する最適解
フィルムの寸法安定性を高めるには、いくつかのアプローチがあります。
方法A:高耐熱素材への変更(エンプラ・スーパーエンプラ)
メリット: 耐熱性・強靭性に優れる。
デメリット: 材料コストの大幅増、設計変更が必要。
方法B:アニール炉(バッチ式)での恒温処理
メリット: ロール状で長時間加熱できる。
デメリット: 外側と内側で熱の入り方にムラが出やすく、巻き締まりや巻き癖のリスクがある。
方法C:【大槻工業の技術】Roll to Rollでのアニール加工 これが、大槻工業が最も推奨する解決策です。
5.大槻工業の「Roll to Rollアニール加工」の優位性
当社のRoll to Roll方式は、フィルムを巻き出しながら連続的に熱をかけ、再び巻き取る手法です。バッチ式と比較して以下の圧倒的なメリットがあります。
加熱の均一性: フィルムが1枚の状態で熱源を通過するため、表層から巻き芯まで全く同じ条件で熱処理が可能です。これにより「場所による収縮率のバラつき」を極限まで抑えます。
品質の可視化: リワインド(巻き替え)を伴うため、加工中に表面状態を常に観察できます。熱収縮率を数値化してお客様へデータとして展開できるため、品質管理が容易になります。
後工程の歩留まり改善: 残留応力をあらかじめ除去した「安定したフィルム」を供給することで、貴社工程でのシワ・カール・蛇行を防止し、製品の歩留まりを劇的に向上させます。

6.機能性付与:アニールがもたらす付加価値
アニール処理は単なる「対策」ではありません。製品に新たな「機能」を付与する工程でもあります。
平面性の維持: 高度な平滑性が求められる電子デバイス用フィルムなどに。
密着性の向上: 熱安定性を高めることで、その後のコーティングや蒸着工程での膜剥がれを防止。
物性の安定 : 経時変化による寸法狂いを抑え、長期間の品質保証を可能にします。
7.大槻工業株式会社が選ばれる理由(強みと実績)
フィルム表面処理加工を受託で対応しており、各種コーティング・コロナ処理・アニール処理などと、バリエーション豊富な加工技術でお客様独自の製品に機能性を付与します。
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お客様のご要望にカスタムグレードで対応!開発の駆け込み寺的存在であり続ける為に、お客様と共に考え、アイデアを出します。ご要望をお伺いし、要求性能に応じた塗工剤を選定し、当社独自の加工技術で適正な表面加工とそれに対応するグレードをご提供します。顧客ごとの製品特性や要求精度に合わせたカスタマイズ対応を行いながら、開発情報・処理条件などの機密を厳重に管理しています。 |
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加工のバリエーションが豊富!要求性能や塗工材料の組成によって塗工方式を決定します。さらに加工要素を組み合わせる事により、多機能化したフィルムに仕上げ高付加価値フィルムとしてお客様のご要望にお応えします。 |
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受託加工業として60年の実績と豊富な経験!昭和40年の設立以来、長年蓄積してきた高い技術力と経験豊富なスタッフが、お客様にご満足いただける製品づくりを進めます。 コーティング・アニール・コロナなどの受託加工で一社一様のスペック開発をスピーディーに提供することをモットーにお客様のご要望にお応えします。 |
8.まとめ:フィルムの熱対策は大槻工業へご相談ください
大槻工業では、単に加工を請け負うだけでなく、素材の特性やお客様の後工程やご希望される加熱収縮率をヒアリングした上で、最適な加工条件で加工品をご提案します。「現行の素材を変えずにカールを直したい」「品質規格が厳しく、熱収縮率の数値を求められている」といったご要望は、ぜひ当社にお聞かせください。



