2026/05/21

「フィルムに印刷したいけれどインクが弾かれてしまう」
「コーティング剤の密着性を上げたい」……。
こうした課題を解決するのが「コロナ処理」です。
大槻工業でも非常にお問い合わせの多いこの加工技術について、よくいただく質問をQ&A形式でまとめました。
【基礎・原理について】
Q. コロナ処理とは具体的にどのような処理ですか?
A. フィルムの表面を「改質して」、インクやコーティング剤が馴染みやすい状態にする処理です。
専門的に表現すると、高周波・高電圧の放電(コロナ放電)によってフィルム表面に親水性の
官能基(水と仲の良い手のようなもの)を生成させ、濡れ性(表面張力)を高めることで、
インク、接着剤、コーティング剤の密着性を飛躍的に向上させる表面処理技術です。
Q. コロナ処理をすることで、どのようなメリットがありますか?
A. 最大のメリットは「密着性・濡れ性の向上」です。
プラスチックフィルム(特にポリオレフィン系など)は元々、基材の表面張力が低く
コーティング剤等を弾きやすい性質を持っています。
コロナ処理を施すことで、印刷加工時のインクの乗りが良くなる、ラミネート強度が上がる、
コーティング剤のハジキがなくなるといった効果が得られます。
Q. どのような素材(フィルム)に処理が可能ですか?
A. PET、PP、PE、PSなど、幅広いプラスチックフィルムに対応可能です。
大槻工業では、これまで培ったノウハウを活かし、素材の特性に合わせた最適な出力での処理を
ご提案しています。また、機能性フィルムへの処理実績も豊富です。
但し、当社の設備では、素材表面に導電性のあるものは処理することができません。
(例:蒸着フィルム、導電カーボン印刷品など)
また、フッ素樹脂など極めて表面自由エネルギーが低い素材は特殊な条件が必要になる為、
個別にご相談下さい。

Q. プラズマ処理とは何が違うのですか?
A. コロナ処理は大気圧下で連続的に高速処理できるのが最大の特徴で、
コストパフォーマンスに優れています。一方、プラズマ処理は特定のガスを用いたり真空下で
行ったりするため、より精密な制御や特殊な機能付与が可能ですが、コストや設備規模が
大きくなる傾向があります。
プラズマ処理はコロナ処理よりも高いエネルギーレベルで処理されるため、その処理効果は高く
なります。しかし、プラズマ処理は減圧下または特定のガス雰囲気下での処理が必要なケースが
多く、コロナ処理よりもコストや設備規模が大きくなる傾向があります。
【トラブル・密着不良について】
Q. コロナ処理をしているのに密着不良(インク剥がれ)が起きます。なぜですか?
A. 主な原因は3つ考えられます。
➔処理強度の不足:放電量が低いか、その他の加工条件の不備により表面改質レベルが弱い。
➔基材の汚染 :フィルム表面に油脂や粉塵、離型剤などが付着している。
➔経時変化 :処理から時間が経過し、効果が減衰している。
まずは、現在の表面張力が当初の目標値にあるか確認してください。
※イメージ
【経時変化・保管について】
Q. 処理の効果は、時間が経つと消えてしまいますか?
A. はい、時間の経過とともに徐々に減衰(経時劣化)します。
保管環境(温度・湿度)や素材の種類によって減衰スピードは異なります。
Q. 処理済みフィルムを長持ちさせる保管方法は?
A. 「冷暗所・低湿度」が基本です。直射日光や高温を避け、防湿袋などで密封して保管することで、
表面張力の低下などの処理効果の減衰を遅らせることができます。
【測定・評価について】
Q. 現場で簡単に処理効果を確認する方法はありますか?
A. 「濡れ張力試験液」を用いた測定が最も一般的です。
特定の数値(例:38mN/m)の濡れ張力試験液を浸した綿棒で線を引き、2秒間はじかれずに
液膜が維持されれば、その数値以上の表面張力があると判断できます。
詳細は「JIS K 6768:プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」を参照ください。
Q. どの程度の表面ヌレ張力(ダイン値)を目指せばいいですか?
A. 基材とコート剤の種類によりますが、一般的な基準は以下の通りです。
水性インク印刷 : 40〜44 mN/m以上
溶剤インク印刷 : 38 mN/m以上
ラミネート・接着: 40 mN/m以上
※基材やコート剤の種類によって最適値は異なるため、試作と密着性などの評価を十分に行ってください。
【加工相談について】
Q. テスト加工や、持ち込みロールへの処理は依頼できますか?
A. もちろん可能です!1本からの小ロット試作も承っております。
「新しい素材を試したい」
「現在の処理条件を見直したい」
といったご要望に、フットワーク軽く対応いたします。
Q. 受託加工をお願いする場合、どの程度のリードタイムが必要ですか?
A. 基材の種類や規格(幅・長さ)、数量によりますが、通常は資材ご支給から10日〜2週間程度で
納品可能です。状況により若干前後しますので、お急ぎの場合は事前にお問い合わせください。
コロナ処理は、プラスチックフィルムの印刷・ラミネート・コーティング品質を支える重要な表面処理技術です。
しかし、処理条件や保管環境によって性能は大きく変化するため、「とりあえず処理すれば良い」というものではありません。
用途や素材に合わせた最適な表面処理を行うことで、密着不良や品質トラブルの低減につながります。
フィルム加工でお困りの際は、表面処理に関する知識と実績を持つ大槻工業株式会社へご相談下さい。
